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Debian GNU/Linux 10でアラビア文字を入力する方法

結論から言えばm17nライブラリをインストールする。

DebianやUbuntuやMintの場合、使っている入力メソッド・フレームワーク向けのdebパッケージが公式のリポジトリに用意されているはず。

ここでは次のような環境を前提とする。

Linuxディストロ
Debian GNU/Linux 10 (buster)
isb_release -dで分かる。
カーネルのリリース番号
Linux 4.19.0-10-amd64
uname -srで分かる。
入力メソッド・フレームワーク
UIM (Universal Input Method)
version 1.8.6
インストールするもの
uim-m17nlibとその依存関係にあるdebパッケージ
busterの公式リポジトリにある。
利用する入力メソッド
m17n-ar-translit
$ su
# apt update; apt install uim-m17nlib

Fcitxならfcitx-m17n、IBusならibus-m17n、SCIMならscim-m17nをインストールする。

インストールし終わったら、uim-pref-gtk3もしくはuim-pref-qt5を起動し、「全体設定」-「入力方式の利用準備」-「使用可能な入力方式」の「編集」を選び、アラビア語の入力メソッドを有効にして閉じる。

アラビア語の入力メソッドには、m17n-ar-translitとm17n-ar-kbdという選択肢がある。translitのほうはローマ字入力のようなものであり、kbdのほうはひらがな入力のようなもの。

ここではアラビア文字のローマ字入力ができるtranslitを選択した。日本語キーボードでアラビア文字を入力する場合、ローマ字入力のほうが簡単であると思われるため。

m17nのdebパッケージ(UIMの場合はuim-m17nlib)がインストールされている場合、文字とキーボード入力との対応関係を記してある.mimという拡張子のファイルが/usr/share/m17nディレクトリ内に置かれている。これらのファイルを参照すれば、文字とキーボード入力との対応関係が分かる。

translitという入力メソッドでのキー入力とアラビア文字と対応表を以下に作ってみた。

アラビア文字のtranslitでの入力対応表
名称 translit 発音 独立形 語頭形 語中形 語尾形
アリフ a /a//i//u//aː/ ا ا ـاـ ـا
バー b /b/ ب بـ ـبـ ـب
ター t /t/ ت تـ ـتـ ـت
サー .t /θ/ ث ثـ ـثـ ـث
ジーム j /dʒ~ʒ/ /ɡ/ ج جـ ـجـ ـج
ハー .7 /ħ/ ح حـ ـحـ ـح
ハー .5 /x~χ/ خ خـ ـخـ ـخ
ダール d /d/ د دـ ـدـ ـد
ザール .d /ð/ ذ ذـ ـذـ ـذ
ラー r /r~ɾ~ʀ/ ر رـ ـرـ ـر
ザーイ z /z/ ز زـ ـزـ ـز
スィーン s /s/ س سـ ـسـ ـس
シーン .s /ʃ/ ش شـ ـشـ ـش
サード .9 /sˤ/ ص صـ ـصـ ـص
ダード ..9 /dˤ/ ض ضـ ـضـ ـض
ター .6 /tˤ/ ط طـ ـطـ ـط
ザー ..6 /ðˤ/ ظ ظـ ـظـ ـظ
アイン .3 /ʕ/ ع عـ ـعـ ـع
ガイン ..3 /ɣ~ʁ/ غ غـ ـغـ ـغ
ファー f /f/ ف فـ ـفـ ـف
カーフ q /q/ ق قـ ـقـ ـق
カーフ k /k/ ك كـ ـكـ ـك
ラーム l /l~ɫ/ ل لـ ـلـ ـل
ミーム m /m/ م مـ ـمـ ـم
ヌーン n /n/ ن نـ ـنـ ـن
ハー h /h/ ه هـ ـهـ ـه
ワーウ w /w/ و وـ ـوـ ـو
ヤー y /j/ ي يـ ـيـ ـي
その他の文字
名称 字形 translit
ター・マルブータ ة / ـة .h
アリフ・マクスーラ ى / ـى a
マッダ+アリフ آ .a
ハムザ ء .2
ハムザ+アリフ أ A
ハムザ+アリフ إ .A
ハムザ+ヤー ئ .y
ハムザ+ワーウ ؤ .w

アリフ・マクスーラの入力がtranslitではうまくいかない。/usr/share/m17n/ar-translit.mimファイルにはaと記されているのだが、aはアリフと同じキーであるのでアリフにしか変換されない。ちなみに、m17n-ar-kbdではnキーでアリフ・マクスーラを入力することができる。

補助的な記号(シャクル)
名称 記号 translit
ファトハ ـَ e
カスラ ـِ i
ダンマ ـُ u
スクーン ـْ x
短剣アリフ ـٰ o
シャッダ+ファトハ ـَّ ev
シャッダ+カスラ ـِّ iv
シャッダ+ダンマ ـُّ uv
ファトハのタンウィーン ـً 不明
カスラのタンウィーン ـٍ 不明
ダンマのタンウィーン ـٌ / ـُُ 不明
ワスラ 不明

translitでは名詞の格を鼻音で表わすタンウィーンとアリフの無声化を表わすワスラの入力方法が/usr/share/m17n/ar-translit.mimファイルに記されていない。

translitでは、タンウィーンの入力方法として、ファトハやカスラやダンマを2回連続して入力することになっているのかもしれない。

ちなみに、m17n-ar-kbdでは、Wでファトハのタンウィーンを、Sでカスラのタンウィーンを、Rでダンマのタンウィーンを入力することができる。

インド数字のtranslitでの入力対応表
アラビア数字 インド数字 translit
0 ٠ 0
1 ١ 1
2 ٢ 2
3 ٣ 3
4 ٤ 4
5 ٥ 5
6 ٦ 6
7 ٧ 7
8 ٨ 8
9 ٩ 9
10 ١٠ 10
11 ١١ 11
20 ٢٠ 20

アラビア語で使われているのはインド数字。translitでは変換機能を有効にした状態でアラビア数字をそのまま入力すればよい。

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