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エスペラント語のアルファベット

エスペラント語には、5つの母音と21個の子音、それに加えて2つの半母音があります。合計して28個の音があります。それぞれの音を表わす文字には大文字と小文字とがあります。21個の子音と2つの半母音を呼ぶとき、その名前には/o/(オ)という母音を添えて発音します。

次の表でエスペラント語の文字とその名前と発音をアルファベット順に示します。エスペラント語の単語はこのアルファベット順に辞書や単語帳に載っています。

アルファベット
大文字小文字名前発音
Aa/a/
Bb/b/
Ccツォ/t͡s/
Ĉĉチョ/t͡ʃ/
Dd/d/
Ee/e/ /e̞/
Ffフォ/f/
Gg/ɡ/
Ĝĝジョ/d͡ʒ/
Hh/h/
Ĥĥッホ/x/
Ii/i/
Jj/j/
Ĵĵジョ/ʒ/
Kk/k/
Ll/l/
Mm/m/
Nn/n/
Oo/o/
Pp/p/
Rr/ɾ/ /r/
Ss/s/
Ŝŝショ/ʃ/
Tt/t/
Uu/u/
Ŭŭ/u̯/
Vvヴォ/v/
Zz/z/

エスペラント語の文字は、多くの場合、日本語のローマ字読みのように発音することができます。とは言っても、厳密に言えば、日本語の発音とエスペラント語の発音には多くの点で違いがあります。

加えて日本語のローマ字にはない文字が、要するに頭に符号を持つ文字が、一部含まれています。さらに加えて日本語のローマ字読みが通じない文字が2つだけあります。

日本人にとって注意すべき文字と発音とを以下で説明します。

母音

エスペラント語の母音の数は日本語と同じ5つです。ただし、無声のイと無声のウを含めると、日本語の母音は7つあるとも考えられますが。

エスペラント語のuの発音は円唇えんしん後舌あとじた狭母音せまぼいんと呼ばれており、日本語のウとは若干違います。日本語のウは唇をあまり丸めずに発音するあいまいなウですが、エスペラント語のuは唇をしっかりと丸めて発音するはっきりとしたウです。

エスペラント語のeの発音は非円唇ひえんしん前舌まえじた半狭はんせま母音ぼいん(国際音声記号では/e/)であるとされていますが、国際音声記号の/e/という発音記号で示される音を実際に聴くと、日本語のイに近い音に聞こえます。ですが、エスペラント話者がeを発音しているのを実際に聴くと、日本語のエにむしろ近く聞こえます。というわけで、日本語のエの音を表す/e̞/とも記しておきました。

ローマ字読みができない文字

日本語のローマ字読みが通じない文字が2つだけあります。それらの文字はcとjです。

cは日本語のローマ字ではtsとつづります。ツァ、ツィ、ツ、ツェ、ツォの子音です。ロシア語に代表されるスラヴ語族のキリル文字のцがローマ字に転記されるときにtsではなくcが使われることがあるため、エスペラント語でもこの文字が採用されたのかもしれません。tsと2文字でつづるよりエレガントです。

jはジョではなくヨです。日本語のヤ、ユ、ヨと同じ半母音です。エスペラント語にはyという文字がないのです。英語のyと同様に語末にjが来ることがありますが、その場合はイーではなく軽く短くイと発音しましょう。

音節末のmとn

音節末にあるmとnは、日本語ではいずれもンという1つの撥音として認識されますが、mは有声ゆうせい両唇りょうしん鼻音びおんと呼ばれ、両唇をただ閉じて音を塞ぐ要領で発音されるンです。nは有声ゆうせい歯茎しけい鼻音びおんと呼ばれ、舌を上の前歯の歯茎から上顎あたりに貼り付けて発音されるンです。

日本語では、bやpやmの前に撥音が来る場合に/m/と自然に発音されることが多いです。ヘボン式ローマ字ではその場合にmとつづられていますね。

頭に符号がつく文字

エスペラント語にはローマ字にはない文字があります。それらは頭に符号が冠せられている文字です。

これらの符号を日本人は字上符じじょうふと呼ぶことがあります。エスペラント語では、山型の字上符をĉapeloチャペロまたはcirkumfleksoツィルクンフレクソと呼び、uという字の上だけにある皿型の字上符をhoketoホケトと呼んでいます。

ĉという字はチョと読みます。チャ、チ、チュ、チェ、チョの子音です。ローマ字ではそれはcyやchとつづられていますね。

ĝという字は/d͡ʒ/と発音します。この/d͡ʒ/は有声ゆうせい後部こうぶ歯茎しけい破擦音はさつおんと呼ばれています。ĵという字は/ʒ/と発音し、有声ゆうせい後部こうぶ歯茎しけい摩擦音まさつおんと呼ばれています。

ĝ /d͡ʒ/とĵ /ʒ/の発音と聞き分けの区別が日本人学習者にとって最初の難関のひとつです。発音の名前から見て分かるとおり、これらの違いは破擦音摩擦音かにあります。

Wikipediaには有声後部歯茎破擦音の例として、日本人が「時間」と発音するときのジの音が挙げられています。有声後部歯茎摩擦音の例としては母音の後に来る日本語のジの音が挙げられています。しかし、同じ日本語話者によって発音の幅があるでしょうから、この手がかりだけでは発音や聞き分けの感覚をなかなか掴みにくいでしょう。

もうひとつ、日本人にとって発音や聞き取りの難関になるのがlとrの区別です。lは有声ゆうせい歯茎しけい側面そくめん接近音せっきんおんです。rは有声ゆうせい歯茎しけいはじき音有声ゆうせい歯茎しけいふるえ音です。

lのほうは英語のエルと同じ音です。rは英語とは異なり、通常は有声歯茎はじき音として発音され、rにアクセントがある場合や単独で発音される場合にのみ有声歯茎ふるえ音になることがあります。有声歯茎ふるえ音は英語ではrolled R(巻かれたR)またはtrilled R(ふるえたR)と呼ばれているようです。

エスペラント語のrはスペイン語のrと同じであり、英語のrよりも日本語のラ行音に近いです。日本語のラ行音は、語頭ではlのような音で発音する人もいるようですが、通常は有声歯茎たたき音であると考えられています。有声歯茎はじき音と有声歯茎たたき音は国際音声記号では共に同じ発音記号である/ɾ/によって記されており、その違いはごくわずかです。

有声歯茎ふるえ音は有声歯茎はじき音を高速で複数回繰り返す音であると言い表されることがあります。でも実際には、強い呼気を使って舌先を痙攣させているように見えます。舌先を痙攣させる動きができない人には難しいです。

とはいえ、実際の会話でエスペラント語の話者が有声歯茎ふるえ音を使っている場面はめったにないと思います。大抵は有声歯茎はじき音で済まされています。日本人が気をつけて発音するべきなのはむしろlの有声歯茎側面接近音のほうです。lの音は音節末ではウのような音に聞こえることがあります。

ほかには、fとhとĥの区別に要注意です。fとhの区別は英語のそれと同じです。fは無声むせい唇歯しんし摩擦音まさつおんと呼ばれており、上の歯で下唇を軽く噛む要領で発音します。

ĥという字の発音は無声むせい軟口蓋なんこうがい摩擦音まさつおんと呼ばれています。発音記号は/x/です。ロシア語キリル文字のхやギリシア文字のχがこの音を持っています。うがいをする要領で喉を使ってホーと発音する感じです。日本語では「発表」や「バッハ」のハがこの音になることがあるようです。

ŝという字は日本語のシャ、シ、シュ、シェ、ショに近いです。ローマ字ではsyやshと表記されていますね。日本語のシャ行音を使って発音して問題ないと思います。

最後に残った特殊な文字ŭには、チャペロとは違うホケトという字上符が冠せられています。ŭという字はエスペラント語の単語や音節の末尾でしか使われていません。英語でいうところの半母音のwを表しています。国際音声記号では/u/の半音化を表わした/u̯/という記号で記されることがあります。

ご覧のとおり、エスペラント語の文字には、ヨーロッパで比較的新しく広まった字であるyとwは使われていません。

字上符を持つ文字の代替表記法

ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ, ŭといった文字は、手書きでは記すことができますが、タイプライターやパソコンやスマホやその他のインターネット端末では入力できないことがあるでしょう。

私が使っているLinuxディストリビューションのOS向けにはm17nというライブラリがあり、その中にエスペラント語用の入力メソッドが用意されています。広く使われているOSであるWindowsやAndroidでは、エスペラント語の入力機能を追加するアプリを別途インストールする必要があるかもしれません。Windows10は多くの外国語入力に対応していますが、エスペラント語にはまだ未対応のようです。

そこで代わりとなる表記法が古くから提唱されてきました。伝統的な代替表記法はそれぞれch, gh, hh, jh, sh, uを使うことです。しかし、この代替表記法は現在ではほとんど見かけません。hの代わりにxを添えたcx, gx, hx, jx, sx, uxが普及しています。

日本人エスペラント語話者の間では事情が少し違い、^を添えた代替表記法が広く使われてきました。c^, g^, h^, j^, s^, u^です。これはこれで本来の文字に近くてよいアイデアですが、国際的には普及していないようです。ただし海外のエスペラント語話者が見ても直感的に理解できると思いますが。

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