Debian GNU/Linux 10とVisual Studio CodeでC#プログラミングの準備
.NET Coreは.NET Frameworkの後継とされているフレームワークであり、クロスプラットフォームに対応しており、WindowsとLinuxとMacOSで共通に動作するアプリを開発することができる。.NET CoreのソースコードはMITライセンスに基づいて公開されている。
.NET Core 3.1をDebian 10にインストールし、とりあえずVisual Studio CodeでHello World!を表示させるところまでやってみたので、その手順を簡単に書き留める。
ここではAPTによるインストール方法とSnappyによるインストール方法について扱う。これらのパッケージがサポートされていないLinuxディストリビューションの場合は、バイナリ・ファイルを手動でインストールする方法があり、公式サイトでそれが解説されている。
- CPUアーキテクチャ
- x86_64
- カーネル
- linux version 4.19.0-9-amd64
- インストールされているもの
- Debian GNU/Linux 10 (buster)
- Visual Studio Code 1.47
- インストールするもの
- .NET Core SDK 3.1
- .NET Core Runtime 3.1またはASP.NET Core Runtime 3.1
- C# for Visual Studio Code(拡張機能)
.NET CoreのSDKとランタイムをダウンロードしてインストールすると、それらのライセンス契約に同意したことになるので要注意。
Visual Studio CoreをDebian 10にインストールする手順については、以前に覚え書きしておいたのでそちらを参照あれ。
.NET Core SDKのインストール
ここでは、Debian10へ.NET Core SDK 3.1と.NET Core Runtime 3.1をインストールする手順について書き留める。
XTermなどのターミナル・エミュレータを開く。そしてwgetを使ってpackages-microsoft-prod.debをダウンロードする。
$ wget https://packages.microsoft.com/config/debian/10/packages-microsoft-prod.deb
次にpackages-microsoft-prod.debをインストールする。その際にはスーパーユーザー権限が必要なのでsuやsudoを用いてスーパーユーザー権限を得る。
$ su # apt install ./packages-microsoft-prod.deb
これらの処理によってmicrosoft-prod.gpgというPGP公開鍵のファイルが/etc/apt/trusted.gpg.dディレクトリ内に追加され、リポジトリの設定が記されたファイルであるmicrosoft-prod.listが/etc/apt/sources.list.dディレクトリ内に自動的に設置される。
公開鍵を確認するには次のようにする。
$ apt-key list (中略) /etc/apt/trusted.gpg.d/microsoft-prod.gpg ----------------------------------------- pub rsa2048 2015-10-28 [SC] BC52 8686 B50D 79E3 39D3 721C EB3E 94AD BE12 29CF uid [ 不明 ] Microsoft (Release signing) <gpgsecurity@microsoft.com>
リポジトリは次のようにして確認できる。
$ cat /etc/apt/sources.list.d/microsoft-prod.list deb [arch=amd64,arm64,armhf] https://packages.microsoft.com/debian/10/prod buster main
次にAPTをアップデートしてapt-transport-httpsをインストールする。この処理にもスーパーユーザー権限が必要。
# apt update; apt install -y apt-transport-https
aptコマンドのオプションの-yは、インストール時の問いにすべてyesと答えるようにするもの。
これらの処理がうまくいったら、最後にdotnet-sdk-3.1をインストールする。同じくスーパーユーザー権限が必要。
# apt install -y dotnet-sdk-3.1
ランタイムのインストール
ランタイムをインストールしておくと、その環境下でランタイムなしのアプリを実行することができる。
.NET Core Runtime 3.1のインストールは次のようにする。
$ su # apt update; apt install -y dotnet-runtime-3.1
ASP.NET Coreをサポートしたければ、.NET Core Runtime 3.1の代わりにASP.NET Core Runtime 3.1をインストールする。
$ su # apt update; apt install -y aspnetcore-runtime-3.1
Snappyによるインストール
Linuxディストリビューションの違いに依存しないパッケージ管理システムであるSnappyを使うことができる。これを利用するためにはsnapdがインストールされている必要がある。
snapdがインストールされていなければ、Debianの公式リポジトリからダウンロードしてインストールする必要がある。例えば、コマンドラインからAPTを使ってインストールする場合には次のようにする。スーパーユーザー権限が必要になるのでsuやsudoを利用する。
$ su # apt update; apt install snapd
次にウェブ・ブラウザでsnapcraftというサイトに訪れてトップメニューの「Store」を開く。「.net core sdk」と入力して検索する。
検索結果に.NET Core SDKがヒットするはずなので、それを選ぶ。それで開いたウェブ・ページを下方へスクロールして使っているLinuxディストリビューションを選ぶ。ここではDebianを例に挙げているのでDebianを選ぶ。
開いたウェブ・ページにインストール方法が記されている。snapdはすでにインストールしてあるので、APTを使ってdotnet-sdkというsnapパッケージをインストールする。この操作にはスーパーユーザー権限が必要。
$ su # snap install dotnet-sdk --classic dotnet-sdk 3.1.302 from Microsoft .NET Core (dotnetcore✓) installed
バージョンを指定してインストールする場合には次のように--channelオプションを利用する。
$ su # snap install dotnet-sdk --classic --channel=3.1
インストールされたsnapパッケージは通常、/snapディレクトリ下にある。起動ファイルのシンボリック・リンクが/snap/bin内に張られている。シンボリック・リンクの名称はパッケージ名.アプリ名のようになっている。
エイリアスを次のように設定しておくと便利。この操作にもスーパーユーザー権限が必要。
$ su # snap alias dotnet-sdk.dotnet dotnet
.NET Core 3.1のランタイムをインストールするには次のようにする。スーパーユーザー権限が必要。
$ su # snap install dotnet-runtime-31 dotnet-runtime-31 3.1.6 from Microsoft .NET Core (dotnetcore✓) installed
snapによってインストールされたパッケージ一覧を表示するには次のようにする。
$ snap list Name Version Rev Tracking Publisher Notes code 91899dce 39 latest/stable vscode✓ classic core 16-2.45.2 9665 latest/stable canonical✓ core core18 20200707 1880 latest/stable canonical✓ base dotnet-runtime-31 3.1.6 7 latest/stable dotnetcore✓ - dotnet-sdk 3.1.302 92 latest/stable dotnetcore✓ classic
インストールしたsnapパッケージを更新するには次のようにする。スーパーユーザー権限が必要。
$ su # snap refresh
アンインストールするには次のようにする。スーパーユーザー権限が必要。
$ su # snap remove dotnet-sdk dotnet-runtime-31 dotnet-sdk removed dotnet-runtime-31 removed
Visual Studio Codeの拡張機能をインストール
Visual Studio Code上でC#プログラミングをするにあたって、C# for Visual Studio Codeという名の拡張機能をインストールする。
Visual Studio Codeをまず起動する。
メニューバーにある「表示」から「拡張機能」を選ぶと、拡張機能一覧が表示されるフレームと共に検索フォームが現れるので、「C#」として検索をする。
C# for Visual Studio Codeがヒットするはずなのでそれを選ぶ。そして「インストール」ボタンを押してインストールする。
Hello Worldプロジェクト
「ファイル」から「フォルダを開く」を選んで開いたダイアログを使い、適当なディレクトリに新たなディレクトリを作成する。このディレクトリ名がプロジェクト名と名前空間名になる。
ここでは例えばCsharpディレクトリを作成し、その中にHelloWorldディレクトリを作成した。
次に「ターミナル」から「新しいターミナル」を起動し、$プロンプトの後に次のようなコマンドを入力してプロジェクトを初期化する。
$ dotnet new console The template "Console Application" was created successfully. Processing post-creation actions... Running 'dotnet restore' on /home/.../Csharp/HelloWorld/HelloWorld.csproj... 復元対象のプロジェクトを決定しています... /home/.../Csharp/HelloWorld/HelloWorld.csproj を復元しました (171 ms)。 Restore succeeded.
succeededと表示されたらうまくいった証拠。
これによって.csprojという拡張子がついたいくつかのプロジェクトファイルが自動生成されるばかりでなく、Program.csというファイル名でHello World!を表示するためのコードが自動生成される。
Visual Studio Codeのエクスプローラにそれらのファイルやフォルダの一覧が表示される。具体的には、HELLOWORLDタグ以下にobjディレクトリとbinディレクトリとHelloWorld.csprojとProgram.csが表示されているはず。
C#のコードはProgram.csファイルに記述されている。
ターミナルに次のように入力してEnterキーを押すと、Hello World!と表示される。
$ dotnet run Hello World!
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